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第4回 正しい定義・概念の理解の仕方

 定義・概念は、物事の出発点ですから、正確に理解するのが重要です。
 では、定義・概念の造り方、読み方をあなたは考えたことがありますか。
 定義・概念の造り方は、概ね3方法に大別されます。

 1、例えば、民法第4条の成年の定義は・・・「(成年) 年齢20歳をもって、成年とする。」
 この定義は、他の規定の前提となる定義であり、これで「成年」という語が自由に使えるようになる・・・・・(説明を簡略化するための定義である。)

 2、例えば、第7条では後見開始の審判の手続を「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。」ときていしたものである・・・・・・(手続の定義である)
 これで「成年被後見人」とは、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」で、かつ、「家庭裁判所の後見開始の審判を」受けた者である、ということになる。

 3、例えば、第555条は「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定した。つまり、売買契約の成立要件(当事者の一方(売主)がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方(買主)がこれに対してその代金を支払うことを約すること)により、その効果(効力)を生ずるのである・・・・・(売買契約成立のための定義(要件・効果)である)。
 同様に第601条では、「賃貸借は、当事者の一方(貸主)がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方(借主)がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」、また第632条は「請負は、当事者の一方(請負人)がある仕事を完成することを約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
 つまり、売買・賃貸借・請負契約には共通項があるのです。
 それは、「○○契約とは、当事者の一方(売主・貸主・請負人)が△△することを約し、相手方(買主・借主・注文者)がこれに対してその××を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」というものです。

 次は、条文の読み方のコツについて、
 第557条の手付では、「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」と規定しています。また、第587条の消費貸借では「当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」と規定していますが、上記の売買・賃貸借・請負契約とどこが異なりますか。
そうです、「約し・約することによって」の代わりに「交付したときは・物を受け取ることによって」と規定しています。つまり、「約し・約することによって」とは、意思の合致で契約が成立する「諾成契約」であることを意味し、「交付したときは・物を受け取ることによって」とは、物の引渡しを要する「要物契約」であることを意味します。
 さらに、第709条の不法行為による損害賠償については「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定していますが、「約し・約することによって」とか、「交付したときは・物を受け取ることによって」という文言はなく、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は」と規定しています。つまり、不法行為による損害賠償は、事実によって発生するもので「契約」により発生するものではないのです。

 どうですか、定義や概念の造り方・読み方のヒントとなりましたか、単に条文を読んでいるだけでは、何も分かりません。
条文の読み方のコツを一寸知るだけで面白くなるものですね。

「あなたも、一度試してみませんか」・・・・・・・・・・・・・by 宅建仙人



 

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